気候変動が米国・カナダの作付け決定に与える影響

2022年6月16日発行
近年、北米の農業コミュニティでは極端な気象がますます話題になっています。
気象の影響をより深く理解するため、Kynetecは米国とカナダの農家からなるオンライン農家パネルを対象に調査を行いました。調査対象は約1000人で、気象変化が畑作の作付けの決定にどのような影響を与えたかが調査の焦点となっています。
結果
回答した農家のうち約70%が前年と比べて気象条件が畑作の準備や播種にあまり適さなかったと回答しており、従来の作付方法に明らかな影響が出ていることが分かりました。

両国の大多数は気象条件が不利であったと回答しているものの、カナダの農家は米国の農家に比べて若干良好な条件であったと回答しています。

大幅な作付け調整
農家の24%が、最近の気象の影響により畑作の作付けの決定を変更したと回答しています。詳細を見てみると、13%の農家が作物の種類を調整、5%が種子の形質やブランドを変更、6%がその両方を変更したことが分かりました。これは、多くの農家が変化する気候条件に適応するための革新的な方法を模索していることを示しています。気象の影響による作付け決定の変更については、米国が22%なのに対しカナダは30%と、カナダの農家の方がその傾向がやや強いという結果となりました。
アメリカにおける地域別の影響
Kynetecの分析では、米国内のさまざまな地域における気象変化の影響も考慮しました。南部地域(南部、南部平原)では、種子の形質に関する変更の割合が最も高く、ここでは農家が気象に対処するために、より耐性のある品種を見つけようとしていることが示唆されています。これに対し、西部地域(山岳と太平洋岸北西部)では、作物の種類を変更する割合が最も高く、農家が作物の多様化を図っていることが分かります。これは、不確実な気象条件に対応する戦略の一環であると考えられます。
この調査結果は、米国とカナダ両国の農家の作付け決定に対する気象変化の大きな影響を明確に示しています。今後、農業研究者、政策立案者、および農業コミュニティは、気象変化の影響をより深く理解し、対策を講じるためにさらに努力することが求められます。